記憶 ―砂漠の花―

まず、叔父様が映った。


『おぉ…皆無事か!?』

「今のところはね…?」

アランが受け答える。


「明日…マルクと決着をつけに行きます!」

アズが強い瞳で言い切る。


『…あぁ、気を付けろよ?万一の事も大丈夫だ。こちらも兵を準備している!』

「シオンの兵?ラルファの兵は…?」

国を守る為、日夜に渡り訓練してきた仲間たちがアズの頭をよぎる。

アランが口を割って入った。


「マルクに対抗…いやサザエル対抗となればウィッチ戦になるだろ?」

『そういう事だ…』

ラルファにはウィッチ狩りがあった為に、ウィッチは少ない。


『…して…、カルラは?』

叔父様が目を左右に振った。


「ここに!お兄様、またお会い出来て光栄です…!」

母上が瞳を潤ませた。
度重なる感動に、彼女の目元はうっすら桃色に色付いている。


『カルラ!!よく無事で…辛かったろうに!…待て?今、最愛の君が来るからな!』

「はい…!はい…!」


ドタバタと音を立て近付いてくる、息を切らせた父上の涙を一杯に溜めた顔が…
やがて画面一杯に広がった。


『カルラ!!』

いつも穏やかな父上のこんなにも必死な顔は、あまり見た事がない。

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