記憶 ―砂漠の花―
「あぁ…あなた!」
二人の愛の深さを知る。
母上が画面一杯の父上に手を伸ばした。
映像とはいえ、二人はやっと会えたのだ。
先生が立ち上がり、合図を出す。
二人きりにしてあげよう…と私たちに部屋の出口を指差した。
廊下へ出た私たちは、隣室で待機しようと歩を進めていた。
「嬉しいだろうな、父上…」
「そうだね~!」
そんな和やかな会話をしている時だった。
私は肌で何かを感じた。
…視線…?
――…憎悪!!
後ろからの刺さる様な視線。
――ヒュ…!!
振り向いた途端、
白い光線が、私をめがけて飛んでくる。
「アイリさんっ!!」
慌てて先生が駆け寄りながら光線を打ち消そうと力を放つ。
が、外れた。
ジュウ…と、緑の魔力は石の壁で煙をあげて消えた。
白い光線は、進路も変えず、
私の目の前に迫ってくる。
私はその光線の威圧感に、魔力を使う事も忘れていた。
とっさに手のひらを前に出し、顔を背けた。
――パァ…ンッ…!!
光線を、弾いた音だった。
私の体には傷一つない。
「……?」
私の周囲を、
赤い力が漂っていた。
無意識に…
光線を、無効化した?