記憶 ―砂漠の花―

「俺は…父上に叔母様の事は聞いていたから…、もしかしたら…って思いは…あったんだ…!」


アランがまだ続ける。


「でも…まさか…本当だなんて…!嘘だろ!?娘なんて…」


「――言わないでってば!!」


今すぐに、
泣き叫びたい…

泣き叫んで、喉につかえる哀しみを解放したい。



アランが強く、
私を抱いた。

自分の頭を、私の首元に押し付ける程に身を丸めて…
それは力一杯に…


「……だから…っ!…だか…ら、お前は俺に大人しく好かれてりゃ良かったんだ…!!」

私の首元が、
アランの涙で濡れた。

泣いていい、泣け、
叫べ、我慢するな、

そう許された気がして、私は声をあげた。


「…ゃあぁぁぁ―…!!」

アランはさらに力を込めた。


「……くそっ…!なんで…!お前とアズが…血が繋がっているなんて…!!」


助けて。タスケテ。
助けて、誰でもいい…

目の前が…真っ暗なの。



「……お前は…俺が、幸せにして…や…る、必ず…っ!!お前が、アズをどれだけ想おうと…その想いごと…全部!!」

「……アラ…ン…」


震えて涙を流すアランの言う事は、本心で。

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