記憶 ―砂漠の花―
アランへと向かって行く、アズの足が止まった。
「え…!?駄目よ?行ったことある場所じゃないと出来ないの。場所をイメージしてからじゃないと…!」
皆の期待が小さい内にと、慌てて私は胸の前で手を振り否定する。
いつの間にか私の傍に戻って来たアランが、懲りずに背中に抱きついた。
「でもアイリ。誰かの記憶を、ビジョンを共有する事は可能でしょ?」
「まぁ…」
これ以上アズの怒りを大きくするのは危険だ、と抵抗していた私の手がアランの言葉を聞いて大人しくなる。
確かに、
記憶を共有する事は可能だ。
でも、瞬間移動なんてマギーに教わった以来、全く使っていない。
「例えば、こうやってくっついて、アイリの見た事のない俺のベッドのビジョンを俺がつくって。アイリが共有して…」
アランの部屋の配置…、
白いベッドの映像が、私の頭の中に流れ込んで来た。
「あんたは!どうしてイチイチ発想がイヤらしいの!?しかも本気でビジョン送ってこないでよ!!」
「あはっ、つい?」
「それでっ!サザエルに行った事のある人物をっ、探…せばっ……いいわけですね?!」
アズが、私と抵抗するアランを必死に引き離しながら叔父様に聞いた。