記憶 ―砂漠の花―

その後、しばらくして友人からの手紙が発見され、マギーを通して成り行きを説明させられた。

白い狼と化したキースの言葉は、ウィッチなしでは人に伝わらないからだ。


その説明を受けた父上とカルラさん、もちろん叔父様も、キースの罪を許した。

祖父だけは、頑なに許しはしなかったそうだが。


しかし、この魔術は解き、別の違った形で罪を償うようにと命令をうける。

だが、キースは自らを許さず、狼のままでいいのだと、この姿を選んだというのだ。




「なんで!?」

「例え皆が許しても、罪は罪。次期国王暗殺など、もってのほかだ!俺はこの姿を選び、年を取る事なく、ラルファの為に何かしたかった。」

「キース…」


「もうサザエルに待つ人もいない。あの時、暗殺に成功してしまっていたら……、それを考えたら怖くて眠れないくらいだ。」

キースは、険しい表情で頭を抱えた。

そして、
ふと、こちらに目を向けると、


「それに、お前たちにも会えなかった…。あの時、カルラ様が死ななくて本当に、本当に良かった!」

私とアズの頭を、涙ながらに両手を広げて優しく撫でた。

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