Sweet☆Lover
Sweet:No.1
「王子様はやっぱりいつでも素敵だよねー」
女子達の悲鳴のような、むしろ悲鳴が飛び交う体育館。
王子こと、藤岡 郁斗はバスケの試合中である。しかも何試合も連続で出るという奇人っぷり。それが皆の王子フィルターには、その名の通り王子様にしか見えていない。
「未紅!王子様見ないの!?」
「あ、いや…見る見る!」
(見飽きてるよ。…なんて言えるわけもない)
【皆の王子様 藤岡郁斗】
そんなご立派な立ち位置の人物と、ただの女子高生の私が付き合ってるだなんてバレた日には、いじめの毎日が待っている。
所謂、秘密の関係。
郁斗とは高校に入る前に知り合った。漫画みたいに落とし物を拾われたわけでも、絡まれていたとこを助けてもらったわけでもない。
突然、隣に引っ越してきたお母さんの友達の息子が彼だというだけだった。
それから関わる機会が増え、高校も同じになり、王子様として輝く彼に告白され、付き合うことになった。
さっぱり説明してはいるけど
私も彼が好きなのは明確。
それ以上に彼が私を溺愛しているのも、また事実。
(想像つかないだろうけど)
今日もバスケで活躍している郁斗を見ながら、そっと溜め息を吐いた。