Sweet☆Lover
私と菜摘、郁斗の3人が揃って登校するなんてことは、今まで一度たりともなかった。それどころか、一緒にいることすらない。
そんな私たちが仲良く教室に入ると、好奇と疑心の目を向けられるのは当たり前だ。
(どんだけ王子に敏感なんだよ)
一緒に登校してきた。ただそれだけでも、やっぱり私を嫌な目で見る人はいた。
「おはよーっす」
「あ、優くんおはよう」
菜摘の彼氏であり、郁斗の幼なじみ兼親友。そして私の良き理解者の矢野 優樹(ヤノ ユウキ)。通称 優くん。
「珍しいじゃん、2人が一緒に来るなんてさ」
「おかげで嫌な視線を感じるけどね」
「未紅には私がついてるよ」
菜摘と優くんのほのぼのカップルのおかげで忘れかけていた視線は、郁斗の一言で再び戻る。
『じゃあ未紅、また後でな!』
そそくさと何処かへ急ぐ郁斗。
爆弾を置かれたような気分で教室に取り残された私。
周りからの視線が痛い。
特に女子。完全に睨まれてる。
隠し通してきたこの約2年間は何だったんだろうと思う。
憂鬱すぎる気持ちのまま、私は授業開始を迎えた。
