冷血ボーイ





玲央くんは一瞬名残惜しそうな顔をすると、口元をあたしの耳に近づけた。





ザワザワとしている周り。





だけど、玲央くんはあたしだけに聞こえるように、こう言った。






「…明日親父にもう一回付き合うこと認めて欲しいって言うつもりだから」





その玲央くんの声が、いつもより何倍も力強く聞こえた。





クラスのみんなは甘い言葉でも囁いてるのと思っているのか、少し興奮気味。





「玲央くんっ…あたしも行く!」





玲央くん、一人で行かないで。





一人で行くと、玲央くんがまた苦しむことになるかもしれない。





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