冷血ボーイ
玲央くんからぎゅっと手を握られて…。
玲央くんだって怖いんだ、あたしだけじゃない…。
「失礼します」
いつも玲央くんは『失礼します』なんて言わずに校長室に入る。
けど、今日は言った…。
それだけ今日は…特別ってこと…。
中に入ると、玲央くんのお父さんは束ねられた書類を見て、サインしていた。
「……何だ」
校長先生は顔も上げずにそう言った。
静かな校長室。
放送も、チャイムも入らないこの部屋は無駄に静かだった。