〈短編〉かわいくなりたい
「で!!」

七菜が私の机の前の席に座って険しい顔をしていた。
和也のことばかり考えていて知らないうちに放課後になっていた。


「でってなにが??」

私はキョトンとした顔をしてなにがでなのか分からなかった。


「みんなからかわいいって言われてんのに元気がない女なんていないわよ…」

はぁ─七菜には敵わないよ…。

私は昨日和也とあったことを話した。


「絶対和也は私がかわいくなってもなんも思わないんだよ…好きな人いるとかいうし・・・」
私は机に顔を伏せて酒を飲んで酔っ払ったおじさんみたいになっていた。


「しかも・・・・好きな人がいるって勘違いしてるし…好きな奴は和也なのに…」

「うんうん」

「しかも…しかもさぁ…俺はお前のこと幼馴染と思っていないとか言い出すしさぁ・・そんな…酷いこと言わなくてもいいのに・・・・」

七菜は私の愚痴を最後まで聞いてくれた。
私は話しているうちに涙が込み上げてきた…。


「なにさぁ─女の子にちょっとモテるからっていて調子こいちゃって…女の魅力なんてこれっぽっち分かっていない。顔だけがいいんじゃないぞアホ…」



「和也の…和也の……バカ──」


「なんで俺がバカなんだよ…」


え…この声は私の知っている…

私は机から顔を離してゆっくりと顔を上げた。

そこに機嫌悪そうに私を見ている和也がいた……


< 17 / 34 >

この作品をシェア

pagetop