ありがとう…ごめんね。

振り出しに戻ったひかる


ひかるは久しぶりに家に帰って来た。お母さんが言ったとおり、家もすごく綺麗になっていてひかるは、完璧に油断していた。
そして、お母さんに「ちょっと自分の部屋で寝て来るね。」と言った。
お母さんもとても自然に「わかったわ。夕食時になったらおこすわね。」と今までだったらありえないほど自然だった。
光輝の所に住み始めてからこれが普通になっていたひかるは、何も違和感を抱かずその間自分の部屋で寝てしまったのだ。
目が覚めると手と足に違和感を感じた。口は、布か何かで縛られている。かろうじて首が動かせるのと、視界は自由だった。手と足の違和感は、鎖で繋がれているからだと確認した。するとそこに寝る前と表情が一変したお母さんがいた。
喋り方だけは、変わらず「あら、ひかる起きたの？もう逃がさないわよ。絶対に…あなたは、私の玩具なんだから。」背中がゾッとした。
お母さんぎだんだんと近づいて来た。そして…「ガンッ！！！！！」鈍い音が部屋に響く。痛いやめて…光輝助けて…お父さん…響さん…怖いよ…。そんな事が頭にめぐった。「ひかる。毎日、可愛がってあげるからね。私の大事な大事な玩具。絶対に逃がさない…絶対に死なせない…」そんな事をつぶやきながら私を殴り続けるお母さん。
私の意識はだんだんと遠のいていった。
「ピーンポーン…ピーンポーン…ピンポンピンポンピンポン…ドンドンドンドン。おい朋巳開けろ！！ドンドンドンドンドンドン。」
この音で私は目覚めた。声の主はお父さんだとすぐにわかった。でも、手足を束縛され、声も出せない状況だ。どうしたらいいのかわからなかった。でも、ここがベッドの上だという事はわかっていた。少し痛いけどここから落ちてみたらこの家に人がいる事がわかるかもしれない。そう思い転がってみた。「ドスン！！！」この部屋は1番玄関に近いから絶対に聞こえたはずだ。するとお父さんが「ひかるか！今のはひかるだな！！いるなら音を出し続けてくれ！！頼む！この声が聞こえてるなら音を出してくれ！」そう言って来た。わたしはどうすればいいのかわからなかった。少し考えて紐で繋がれていないのなら転がってドアに体当たりすればいいんだ！そうひらめいた。「ゴロゴロゴロゴロ…ドン！ゴロゴロゴロゴロ…ゴロゴロゴロゴロ…ドン」これを続けてみた。すると遠くからかすかに「ピーポーピーポーピーポー」と聞こえてくる。その音はだんだんと近づいて来る。家の前で止まった。