おじいさんと孫(仮題)
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確かにその時ときが止まった。
きっと、目の前の相手も同じことを思ったに違いない。乱雑として置かれているアンティーク雑貨の中から古い時計がカチ、カチ、とわざとらしく時をきざむ音が鮮明に耳に入る。
目の前の男、それは自分が探していた男だった。癖のついた白髪、皺一つ無い上等なシャツ。雰囲気は老成した物があるが、顔立ちは自分よりも若く映る。
母の話が本当なら、この男は百歳は悠に越えている筈なのだ。それなのに、皺一つない顔を見ると母の話は本当だったらしい。
今、彼は無表情だ。だが、その唇がぎゅっと真一文字に引き締まっていた。