おじいさんと孫(仮題)
 一番聞きたくない言葉だった、と、彼の目は語っていた。
ごくりと生唾か嚥下する音。
ああ、それを聞いてやっと安心した。
 
今、彼は哀しんだ。母親の死を知って、少なくとも気持ちが沈んだ筈だ。
 
それは、人間の証拠。
感情があるという証拠だ。  
 
 「ああ、別にあなたに恨み言を言いにきたわけではありません、
 母はあなたの事気にかけていました、不老不死だから今もどこかにいるわよねと、」
 
 「そして亡くなる前日、母はこう言い残します」
 
 
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