おじいさんと孫(仮題)
 
 『この写真の人を探して、』

 『一緒にいてあげて』

 『私の』

 『お父さん』

 
 『あなたの、』
 

『おじいさんになる人』
 


暫しの沈黙。
彼は黙ったままだ。また、カチカチと静寂の中に時計の針が鳴り響く。何か思うことがあるのか、 彼は下を向いて小さく「そうか」と呟いた。何を考えているのか、それは自分には計り知れない。この古い物に包まれた空間は自分には重苦しく感じる。まるで、異世界のようだ。この店も、彼も。
だから、それに押し潰されないように言葉を続ける。
息を吸い込むと、なんだか懐かしい匂いがした気がした。 
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