誰も知らない物語
深い霧が立ち込める。
山の夜明けは思ったより重い。
河口湖や水面に淡く広がる靄。
夏だというのに下界のまとわりつく暑さはなく、さらっとした空気がそこにはあった。
でも、なんか重い。
結果的に公園での野宿になってしまったが、特に問題もなく夜が明けたのは幸いだ。
…問題なく?
いや、俺にとっては大有りだ。
結局、何も言えなかった。
今までずっと言わなかった付けが来たのか…。
『止めとけよ。』でも言えば違ったのかもしれないが、そんな勇気もなかった。
「なにしてんだよ…俺。」
ぼんやり眺めた湖が広すぎて視界に収まらない。
滲む視界なら尚更だ。
今にも溢れだしそうな湖の水が気持ちとリンクする。
「守…殿?」
突然のことで滲しだ視界もはっきりした。
しかし、
「どうしたのじゃ?」
咄嗟であっても気持ちというのは騙せないものなんだ。
ブランケットを羽織ったまま優香が寝ているベンチの隣のベンチへ移った。
優香はまだ静かな寝息をたてたままだ。
昨日のことを聞かなければ、きっといつものような幸せな気持ちで眺められた。
でも、今は少し違う。
…苦しい。
瑠奈はただ頷いて俺の話を聞いた。
いつものように問い質す訳でもなく、なにも言わず頷いた。
どれだけの時間を費やしたのか。
俺は優香をただ追いかけていた時間が恋しかった。
ただいつも通りの朝を迎えて、いつも通りの昼を迎え、夜になる。
そんな日々が本当は儚くて、大事だと…今更ながら痛々しく思う。
「守殿。私は…。」
と瑠奈が何かを言いかけた時、
「あっ、いた!もう、起きてたの?」
優香がブランケットを羽織ながらこちらへ来た。
「…ん?二人してこそこそ何してるの?怪しー。」
とからかうように俺たちを見た。
優香の明るい笑顔は昨日の出来事が嘘なのではないかと疑わされる程眩しかった。
ただ、眩し過ぎて見ることができなかった。
「別に、なんでもねーよ。」
ぶっきらぼうに答えることしかできなかった。
「ま、守殿は寝ずにここにいてくれたのじゃ!」
瑠奈のフォローも何処と無く不自然になってしまったけれど、
「そう?」
と、優香は深追いすることはなかった。
俺だけがどこか取り残された感じがしたが、時間は無情にも等しく流れた。
日は段々と高く昇ってゆく。
今日、目指す場所は決まっている。
青木ヶ原。
これは俺たちの推測でしかないけれど、ここが核心ではないかと思う。
山の夜明けは思ったより重い。
河口湖や水面に淡く広がる靄。
夏だというのに下界のまとわりつく暑さはなく、さらっとした空気がそこにはあった。
でも、なんか重い。
結果的に公園での野宿になってしまったが、特に問題もなく夜が明けたのは幸いだ。
…問題なく?
いや、俺にとっては大有りだ。
結局、何も言えなかった。
今までずっと言わなかった付けが来たのか…。
『止めとけよ。』でも言えば違ったのかもしれないが、そんな勇気もなかった。
「なにしてんだよ…俺。」
ぼんやり眺めた湖が広すぎて視界に収まらない。
滲む視界なら尚更だ。
今にも溢れだしそうな湖の水が気持ちとリンクする。
「守…殿?」
突然のことで滲しだ視界もはっきりした。
しかし、
「どうしたのじゃ?」
咄嗟であっても気持ちというのは騙せないものなんだ。
ブランケットを羽織ったまま優香が寝ているベンチの隣のベンチへ移った。
優香はまだ静かな寝息をたてたままだ。
昨日のことを聞かなければ、きっといつものような幸せな気持ちで眺められた。
でも、今は少し違う。
…苦しい。
瑠奈はただ頷いて俺の話を聞いた。
いつものように問い質す訳でもなく、なにも言わず頷いた。
どれだけの時間を費やしたのか。
俺は優香をただ追いかけていた時間が恋しかった。
ただいつも通りの朝を迎えて、いつも通りの昼を迎え、夜になる。
そんな日々が本当は儚くて、大事だと…今更ながら痛々しく思う。
「守殿。私は…。」
と瑠奈が何かを言いかけた時、
「あっ、いた!もう、起きてたの?」
優香がブランケットを羽織ながらこちらへ来た。
「…ん?二人してこそこそ何してるの?怪しー。」
とからかうように俺たちを見た。
優香の明るい笑顔は昨日の出来事が嘘なのではないかと疑わされる程眩しかった。
ただ、眩し過ぎて見ることができなかった。
「別に、なんでもねーよ。」
ぶっきらぼうに答えることしかできなかった。
「ま、守殿は寝ずにここにいてくれたのじゃ!」
瑠奈のフォローも何処と無く不自然になってしまったけれど、
「そう?」
と、優香は深追いすることはなかった。
俺だけがどこか取り残された感じがしたが、時間は無情にも等しく流れた。
日は段々と高く昇ってゆく。
今日、目指す場所は決まっている。
青木ヶ原。
これは俺たちの推測でしかないけれど、ここが核心ではないかと思う。