チョコレートトラップ
しかし、次に感じた衝撃は

それではなく、

逆にふわふわの

クッションのように温かくて

柔らかいものだった。


「え……?」


状況が飲み込めず、

固く閉じていた目を恐る恐る

ゆっくり開けてみる。


ぼんやりとした視界に

入ってきたのは、

私を抱きかかえてくれている

2本の腕。


だんだんと視界が

はっきりしてきてから、

私はその腕の“主”の顔へと

確かめるように視線を合わせた。


「……!」


その腕の“主”は、

私に微笑みかけながらも

苦痛に顔を歪ませていた。





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