チョコレートトラップ
「お前支えるのも、

 結構キツいなー……」


苦痛に歪んだ顔で

ムリに笑顔を作って、

ぽつりと呟く。


「ウソタ!」


その腕の“主”、

ウソタは言葉とは裏腹に

優しく私を包み込んでくれる。


咄嗟に私を支えた衝撃は、

きっと相当なものだったのだろう。


この歪んだ表情に、

嘘は感じられない。


でも、一体、なんで

ウソタがタイミングよく

ここにいて、

そして倒れる私を

支えてくれたのだろう。


「ウソタ。そんな

 ムリしなくてもよかったのに。

 私が階段から落ちたって、

 別にウソタには

 迷惑かかんないじゃない」


ウソタの温もりを身体中に感じ、

胸の奥がざわつき始める。


ドクンドクンと

大きく波打つ鼓動に、

戸惑いを隠せない。







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