チョコレートトラップ
学年主任の言葉に、

私は思わず視線を前へと向けた。


別に今、

みんなの前に出なくったって

いいはずなのに。


しかし、鬼のような

学年主任の言うことだ。


素直に従わなければ、後々、

ここにいるみんなが困ってしまう。


さっき名前を呼ばれた代表者が、

ゆっくりと立ち上がると

そろそろと前へ出始める。


私も仕方なく、

溜め息をつきながら立ち上がり、

前へと進み出る。


10クラスの代表者2名ずつが揃うと、

学年主任の指示で

高橋くんの後ろへ

横一列に並ばされた。


奇しくも、

高橋くんの立つすぐ後ろの位置に

立たされることになってしまった。


背中からなにやら

不穏な空気を感じるのは、

私の気のせいだろうか。





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