チョコレートトラップ
私はそう感じてはいないけれど、

ウソタの目には

そう映っているのは確かなようだ。


高橋くんの気持ちを、

私はもうすでに手に入れている。


しかもその事を、

高橋くん本人が今、

学年の全ての人が集まっている

体育館で堂々と宣言した。


今まで包んだまま

しまって置いた、

本来の姿をさらけ出して。


私は高橋くんの心を

手に入れたけれど、

心が躍ることなんてなかった。


むしろ、どんどんと

高橋くんから距離を置こうと

もがいている。


それなのに……。


俯いたまま、

じっと口を固くつぐんでいる

私をよそに、

ウソタがやけに明るい声で

語り始める。







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