チョコレートトラップ
昇降口にいる生徒が

ひそひそ話しながら

私たちを見てニヤッと笑う。


あまりにも大き過ぎる

ウソタの声に、

私の中にあるはずの

正常な思考回路がぴたっと止まる。


「あれって、

 6組の磯貝さんだよね……」


「マジで?

 ウソタとデキてんのかよ……」


そんな声がどこそこから飛んでくる。


昨日のあの話は、

ウソタ得意の「嘘」

だったんじゃないの?


なのに、なんで

こんな大勢の人の前で

こんな「デタラメ」言っちゃうの?


私は隙をみて

ウソタの背中を思い切り叩いた。


予想していなかった程の

衝撃だったのか、

ウソタが私から

押し出されるようにはなれると

背中をさすりながら

私へ視線を向ける。






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