チョコレートトラップ
「ちょっとウソタ!

 こんな嘘、

 大声で叫ばないでよ!

 しかも、私のこと

 馴れ馴れしく

 名前でなんて呼ばないで!」


私の怒号に、

それまでざわついていた声が

一瞬にして静まり返る。


その場にいる全員が

私とウソタのやり取りを

見守り始めた。


なんで、そうでもない人と私が

付き合わなくちゃいけないのよ?


しばしの沈黙の後、

ウソタが突然、ケラケラと

冗談交じりの笑い声を響かせた。


「そうっかー。

 “芹菜”は

 そう思ってたんだねー」


なにやら含んだ笑みを見せて

言うウソタが、怖い。






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