チョコレートトラップ

「そ、そうよ。

　私が“いつ”ウソタと

　付き合うことになったのよ」


私の問いかけに、

ウソタが今度は瞬時に

真顔になって答える。


「昨日」


「昨日って……！

　あれは……！」


“ウソタのいつも言う

　「嘘」なんでしょ”


私の言葉が

ウソタの大きな声でかき消される。


「まぁいいや。

　今、芹菜がどう思ってようとも。

　俺は“そのつもり”でいるし、

　芹菜とは“そう接して”

　いくつもりだから」


そう言うと、

私にニカッとイタズラな

笑みを見せてその場を去っていった。


その場にいた生徒はみな、

私とウソタを交互に見てから、

何もなかったかのように

すっといなくなってしまった。