チョコレートトラップ
「どういうって……。

 ウソタとのこと、だよね」


「他に何があるっていうのよ」


アスパラのベーコン巻きを

口に運びながら凛が

冷静に反応する。


やっぱり、凛もそのことが

訊きたいんだよね。


箸を持つ手を下ろすと、

一つ息を吐いてから

ゆっくりと口を開いた。


「えっと、ね。

 バレンタインのチョコなんだけど……。

 ウソタの下駄箱に

 間違って入れちゃったのは

 知ってるよね」


「ん、知ってる」






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