ユアサ先輩とキス・アラモード
カバーしてもらえない現実にへこたれそうになりながらも、なんとかドアの前まで来ると、開けるために片手を解放しようと試行錯誤した。
すると、自動ドアのようにドアが開いた。
「やあ、中林さん。重そうだね」
「小野寺君!」
高く積み上げた副読本の向こうに、ヒョロリと背が高くて恵比寿様みたいな優しい笑顔の小野寺が見えた。身長が180センチあり、心も大きい青年だった。
「それ、教室まで運ぶの?」
「うん」
「一人で?」
「うん」
真帆は小野寺にできるだけ顔を近づけると、小声で言った。
「実は昨日、数学の授業中に寝ちゃって。そのバツとしてやることになったんだよね」
「大変だね。よかったら手伝おうか?」
小野寺も小声で言った。一番近い教師の机は二メートル後ろ。しかし聞こえなかったのか、黙々と作業している。
「いいの?」
「用事なら一、二分もあれば終わるから。待てる?」
「うん、待てる。図書室に行ってるね」
真帆は『ラッキー!』と心の中で叫び、一度廊下に出た。向かいの図書室へ行けば副読本全部を机の上に乗せ、開放感に浸った。
小野寺は予定通り用事を終え、図書室へやって来ると副読本の半分を持ってくれた。
「これ、けっこう重いね」
「そうなの。一冊で厚みがあるからかな、クラス分となるとかなりの重さなの」
「僕たち、こんなに勉強しなきゃならないんだね。考えると憂鬱になるな」
「小野寺君のところは、まだ配られていないの?」
「うん。今使っている副読本の最終ページを終わったばかりだよ。うちのクラスもそろそろかな」
穏やかな空気が二人の間を流れる。『のほほん』と言う擬態語が良く似合いそうだ。湯浅や美咲、樹里といる時は考えられない。彼らからはいつも活動的なエネルギーが発せられ、一緒にいると動かずにいられなかった。
すると、自動ドアのようにドアが開いた。
「やあ、中林さん。重そうだね」
「小野寺君!」
高く積み上げた副読本の向こうに、ヒョロリと背が高くて恵比寿様みたいな優しい笑顔の小野寺が見えた。身長が180センチあり、心も大きい青年だった。
「それ、教室まで運ぶの?」
「うん」
「一人で?」
「うん」
真帆は小野寺にできるだけ顔を近づけると、小声で言った。
「実は昨日、数学の授業中に寝ちゃって。そのバツとしてやることになったんだよね」
「大変だね。よかったら手伝おうか?」
小野寺も小声で言った。一番近い教師の机は二メートル後ろ。しかし聞こえなかったのか、黙々と作業している。
「いいの?」
「用事なら一、二分もあれば終わるから。待てる?」
「うん、待てる。図書室に行ってるね」
真帆は『ラッキー!』と心の中で叫び、一度廊下に出た。向かいの図書室へ行けば副読本全部を机の上に乗せ、開放感に浸った。
小野寺は予定通り用事を終え、図書室へやって来ると副読本の半分を持ってくれた。
「これ、けっこう重いね」
「そうなの。一冊で厚みがあるからかな、クラス分となるとかなりの重さなの」
「僕たち、こんなに勉強しなきゃならないんだね。考えると憂鬱になるな」
「小野寺君のところは、まだ配られていないの?」
「うん。今使っている副読本の最終ページを終わったばかりだよ。うちのクラスもそろそろかな」
穏やかな空気が二人の間を流れる。『のほほん』と言う擬態語が良く似合いそうだ。湯浅や美咲、樹里といる時は考えられない。彼らからはいつも活動的なエネルギーが発せられ、一緒にいると動かずにいられなかった。