クランベールに行ってきます
範囲が広がると遅くなるなら、範囲を狭くすればいいのではないかと思い、結衣は提案してみた。
「この世界以外を対象範囲にすればいいんじゃないの?」
ロイドは少し笑って首を横に振った。
「それは更に時間がかかる」
結衣がキョトンとすると、ロイドは説明した。
キー項目の設定されたデータベースに、キー項目を指定して検索をかけるなら有効な場合もあるが、キー項目以外を検索条件に指定すると、否定条件の指定は全件検索より時間がかかるものらしい。
おまけに王子の捜索はデータベースの検索ではない。キー項目などあろうはずがない。
これまでの対象範囲は検索の終了条件だ。終わりがどこにあるのかわからない異世界の範囲を終了条件に設定するのは不可能なため、全範囲を検索するしかないという。
一体どういう理屈で「範囲指定あり」が「範囲指定なし」より時間がかかるのか、結衣にはさっぱりわからないが、とにかく無理だという事らしい。
結衣は眉間にしわを寄せて、頭をかかえた。
「なんかよくわからないけど、大変そうな気がする」
その様子を見て、ロイドはクスリと笑うと事も無げに言う。
「やる事自体はそれほど大変じゃない。だが悠長に試行錯誤を繰り返しているヒマはない。あさっての二十時までには、できるだけ高速化しておかなければならない。ほとんどぶっつけ本番だか、それまでは異世界を除く全世界を対象にしてテストするしかないな」
結衣にしてみれば大変な事のように思えるが、ロイドにとっては大して大変でもなさそうだ。なのにどうして、さっきはあんなに余裕をなくしていたのだろう。少し気になったので、思い付く事を訊いてみた。
「ねぇ、王様に何か言われた?」
脈絡のない質問に、ロイドは不思議そうに結衣を見つめる。
「いや、労をねぎらっていただいた」
そう言った後、思い出したようにクスクス笑った。
「おまえと同じ事おっしゃってたぞ。おまえなら、きっと成し遂げるだろうって」
結衣は思わずため息をつく。
それはかえってプレッシャーかもしれない。結衣の言葉ならただの励ましだろうが、王の言葉だと期待に応えなければならない気にさせられる。
だが、ロイドが王に信頼と期待を寄せられているのは、今に始まった事ではない。気弱になる原因としては弱い気がする。