月と夕焼け


「純…帰って来い。2年前より確実にお前らは大人になっただろ」

「父さんに、電話してみるよ。父さんもそろそろ俺に日本に帰って来てもらって会社を継ぐ話が本格的にしたかったらしいし」


俺は、西城と日本で会う約束をして電話を切った。

でもそれから、父に電話する機会もなく毎晩、西城と電話するようになっていた。


『ジュン』

『ん?』

『最近、良く笑うようになったな。俺も嬉しいよ』

『マイク…』

『ずっと思ってたんだ。どうすればジュンが本気で楽しめるんだろうって。やっぱり昔からの友だちが一番だよな』

『そんな事ない。俺にとってマイクは本当の親友だ』

『ジュン…』


いつもマイクには気を使わせていた。
俺の世話係りのような役目をいきなり言い渡されてから、2年間もずっと俺の側にいてくれたんだから。


『本当に感謝してる』

『お別れみたいな言い方するんだな』

『…俺、来月に日本に帰ることにしたんだ』


マイクだけに伝えた帰国。
父親はもちろん、日本の知り合いにも何も言わずに帰国することにした。
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