月と夕焼け
そして、俺は今、日本行きの飛行機に乗っている。
さっき、飛行機の中から西城に「今から日本に帰る」とだけメールした。
空港から出ると、西城の姿を見つける。
「迎えに来てくれたんだな」
「当たり前だろ。純くん」
「美乃梨に影響されすぎだよ。くん付けすんな」
「ははっ、悪い悪い」
西城家の車に乗る。
「で、どうする?」
「どうするって言われてもな。あ、美乃梨は…?」
「西城家で理由も話さずに待機させてるよ」
「会いたいなんて、ただのわがままだろ?」
「…俺の家に行ったら偶然、美乃梨がそこにいただけ。美乃梨は、お前が日本にいることは知らないんだから」
西城がニヤリと笑う。
確かに、日本に帰って来た俺は西城に会いに西城家へ。
そこに偶然、美乃梨がいて再会。
なんて、美乃梨に対しても双方の親に対してもバッチリな言い訳だ。
「初めからこんな言い訳じみてて良いのか?」
「でもそうしないと、純が日本に帰って来た意味がないだろ」