友恋。
「ユキナーっ」
カナが抱きついてくる。
「…カナ」
「なに?」
「すごく嬉しいんだけど…」
「だけど?」
「すごく暑い…」
「あたしも!」
「だからせめてハグじゃなくてキスしよ?」
くるっと振り返ってカナの唇にちょっと触れるくらいのキスをした。
「暑いならプール行こうよ!プールデート!」
「あー、いいねー…どこのプールにする?」
「あそこでいいじゃん、えーと…最近出来た遊園地の」
「あじさいランド?」
「そう!そこ!」
「おっけー、日にちは…」
「部活が…」
「………」
「……」
「…」
「それじゃあ、また帰りにね」
「うん!」
教科書を抱えて走ってくカナ。
次の授業は理科室なのかー
あたしは音楽室だから
屋上からすぐだけど理科室…
間に合うかな、授業に…
あたしも荷物をまとめて
音楽室に向かう。
廊下でクラスメートと
はちあわせた。
「ユキナじゃん」
「うん、屋上から来たから」
「いつも休み時間とかいないのって屋上にいるからなの?」
「うん、あ、D組の子と一緒に、だけど」
「ふうん…?仲良いんだね」
「中二の時からずっとだから」
「あー、二人とも内部生か」
「うん」
「ずっと女子校じゃあ、恋愛もできないしつまんなくないの?」
「まぁ、人によっては女子校でも恋愛しまくってたけどねぇ」
「えーそれないわー女同士って事でしょー?」
「ガチな人は殆どいないけど。ガチだったらみんな隠すって」
「そうなのー?」
「そうでしょーテレビとか雑誌とか見ればわかるって」
「ふーん…あ、音楽室」
「あー、あたし席ここだ」
「じゃ、またあとで」
「はいはーい」
……やっぱり一般論はそうだよなぁ…
改めて、クラスメートには内緒にしておこう
そう思った