運命‐サダメ‐
結局、子供のことどころか、「好き」と自分の気持ちを正直に伝えることすら出来なかったけど。
「子供も、大丈夫でしたか?」
少し遠慮がちだったけど、はっきり聞かれた。
「聞かれたのですか?」
「入院して、少ししてから聞きました。
月島彰吾くんとの子だろうと」
他の人から彼の名前を聞くと、今でもドキッとしてしまう。
そして、泣きそうになるんだ。
この何ヶ月もの出来事が、全て夢だったのではないかと。