運命‐サダメ‐

*溺れる心




彼の話しを聞いていた私の目から、涙が零れた。


同情とかではない。


彼の話しは、どこかで聞いたことのある話し。



イヤ、婚約者だと聞いた時点で気付いていた。


彼が言う婚約者と、私の大切な人が同一人物だと言うことに。


その瞬間、私の記憶が溢れだした。




「千夏姉……」




気付いたら、呟いていた。


もう2度と呼ぶことのないと思っていた名前を。




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