雨あがりの空に
車で走っている時、見慣れた歩道を翠と拓海が歩いていた。

二人は一緒に手を繋いで仲良く話していた。


プーー。

クラクションを鳴らす。


二人が振り返った。

窓を開けて少しだけ顔を出す。


「あっ!パパだぁ!」

「あ、裕也」

「いつも、この道を通ってるんだ。車、乗ってくか?幼稚園まで送るぞ?」

俺がそう言うと、拓海は翠の腕をギュッと抱き締めた。

「僕、ママと一緒に歩いていく!!だからパパはお仕事に行ってきていいよ」

「お、そうか?」

「うん!今、ママとね約束したんだ。パパはお仕事で大変だから迷惑はかけないようにしようねって。だから僕はママと行く」

「じゃあ、俺は行こうかな」

「うん!じゃあ行ってらっしゃい」

「おう!行ってきます」


窓を閉めて、車を走らせる。


ミラー越しに、拓海が小さく手を振っているのが見える。


自然に笑顔がほころぶ。


俺は、本当に良い家族を持った。
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