変わった二人の変わった戦い【短編】
『なぁ?何作ってるん』
『うわっ!びっくりするから辞めてよ』
野菜を炒めてる途中に
後ろから話しかけられ
体がビクッと反応する
『晃と雫ゎ?』
そう聞くと口に人差し指を当てて
後ろを指差す
6畳半の畳の上で
同じポーズで寝ている二人
『で?なに作ってるん』
『野菜炒めやけど』
『へ~、やっぱ美月偉いなぁ』
料理中で
手が塞がってるのを良いことに
坂上はうちの頭に手を置いて撫でる
なにすんねん!
て言いたかったけど
びっくりしすぎて
固まってしもた自分
小さい頃に父によく
頭を撫でてもろてた
ただ父が居らんくなってからも
それだけが恋しかった
逃げて裏切った父は
最低やし嫌いやけど
撫でてもろてた思い出ゎ
今だに消えんと胸に残ってる
やから男に
頭撫でられたんゎこれで2人目
『美月?焦げるで』
『え!?あ…やばっ』
手元のフライパンに目線を戻して
慌てて火止めて皿に盛り付ける