変わった二人の変わった戦い【短編】






『なぁ?何作ってるん』



『うわっ!びっくりするから辞めてよ』


野菜を炒めてる途中に
後ろから話しかけられ
体がビクッと反応する


『晃と雫ゎ?』


そう聞くと口に人差し指を当てて
後ろを指差す

6畳半の畳の上で
同じポーズで寝ている二人



『で?なに作ってるん』


『野菜炒めやけど』


『へ~、やっぱ美月偉いなぁ』


料理中で
手が塞がってるのを良いことに
坂上はうちの頭に手を置いて撫でる


なにすんねん!


て言いたかったけど
びっくりしすぎて
固まってしもた自分


小さい頃に父によく
頭を撫でてもろてた

ただ父が居らんくなってからも
それだけが恋しかった


逃げて裏切った父は
最低やし嫌いやけど

撫でてもろてた思い出ゎ
今だに消えんと胸に残ってる



やから男に
頭撫でられたんゎこれで2人目


『美月?焦げるで』


『え!?あ…やばっ』


手元のフライパンに目線を戻して
慌てて火止めて皿に盛り付ける



< 25 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop