雪月繚乱〜少年博士と醜悪な魔物〜
顎をすくわれ、瞳をのぞき込まれる。
「はな……せっ、誰か……」
ますます蔓にきつく巻きつかれ、息苦しさに仰け反った月夜は、思わず助けを口にした。
だが不意に浮かんだのは、なぜか一番逢いたくないはずの男の顔だった。
「月夜様……貴方は俺と同じなんや。神魔でも、人間でもな――」
イシャナが急に言葉を失うのと、月夜に巻きついた蔓が消滅するのは同時だった。
「はぁっ…はぁっ…」
ようやく息をしながら、隣で気を失い倒れているイシャナを一瞥し、阿修羅に視線を移す。
彼はしっかりと四つ足で立ち、身体に強い光を帯びていた。
――妖力が…戻ったのか?
しかしたった一撃でイシャナの式を倒すほどの力を、いきなり取り戻せるものか?
「……阿修羅」
床を這いずり、阿修羅に手をのばした。
いまはとにかく、失わずにすんだ命を確かめたかった。
届いた指先に柔らかい毛が触れる。
月夜は強く阿修羅の首を掻き抱いた。
「……なんだ。また泣いているのか?」
勘にさわる声が耳許でささやいた。
けれど月夜は構わず阿修羅をきつく抱きしめた。
「泣いてなんか……どうしてお前は……いつも変な刻に現れる」
「いらぬ助けだったか」
阿修羅の姿で、雪がぶっきら棒に応える。
やはりこの男には腹が立つ。
月夜は毛並みに顔を埋め、首を横にふった。
「もう、あんな思いをするのは御免だ。ボクは…もっと力が欲しい」
「……それは、俺に傍にいて欲しいという意味か?」
月夜は弾かれるように顔をあげた。
「誤解するな! ボクはただ、強い式を――」
「いいだろう。どうしてもというなら仕方ない」
「いや、だから…」
「はな……せっ、誰か……」
ますます蔓にきつく巻きつかれ、息苦しさに仰け反った月夜は、思わず助けを口にした。
だが不意に浮かんだのは、なぜか一番逢いたくないはずの男の顔だった。
「月夜様……貴方は俺と同じなんや。神魔でも、人間でもな――」
イシャナが急に言葉を失うのと、月夜に巻きついた蔓が消滅するのは同時だった。
「はぁっ…はぁっ…」
ようやく息をしながら、隣で気を失い倒れているイシャナを一瞥し、阿修羅に視線を移す。
彼はしっかりと四つ足で立ち、身体に強い光を帯びていた。
――妖力が…戻ったのか?
しかしたった一撃でイシャナの式を倒すほどの力を、いきなり取り戻せるものか?
「……阿修羅」
床を這いずり、阿修羅に手をのばした。
いまはとにかく、失わずにすんだ命を確かめたかった。
届いた指先に柔らかい毛が触れる。
月夜は強く阿修羅の首を掻き抱いた。
「……なんだ。また泣いているのか?」
勘にさわる声が耳許でささやいた。
けれど月夜は構わず阿修羅をきつく抱きしめた。
「泣いてなんか……どうしてお前は……いつも変な刻に現れる」
「いらぬ助けだったか」
阿修羅の姿で、雪がぶっきら棒に応える。
やはりこの男には腹が立つ。
月夜は毛並みに顔を埋め、首を横にふった。
「もう、あんな思いをするのは御免だ。ボクは…もっと力が欲しい」
「……それは、俺に傍にいて欲しいという意味か?」
月夜は弾かれるように顔をあげた。
「誤解するな! ボクはただ、強い式を――」
「いいだろう。どうしてもというなら仕方ない」
「いや、だから…」