雪月繚乱〜少年博士と醜悪な魔物〜
「まずは、あれをなんとかするか」
雪は床でのびているイシャナをわざと踏みつけ、部屋の外へと出ていく。
「ま、まて! 見張りが……誰かに見つかれば、騒ぎに――」
しかし扉の向こうにいた見張りは、いつのまにか気絶し横たわっていた。
他に人の気配もなかったが、館の外ではやはり何かが起きているようだった。
異様な空気が身体にまとわりついてくるのを、月夜は感じていた。
「いったいなにが起こっているんだ?」
一瞬阿修羅の姿を見失い、月夜は慌てて駆け出した。
館から出た途端目にした光景に、息をのむ。
「これは……どういうことだ?」
そこには大勢の者たちが、血を流し累々と倒れていた。
近くの者に駆け寄り容態を確かめたが、辛うじて生きているようだ。
だが、この光景はあまりに凄惨だった。
まるで見方同士が殺し合いでもしたかのように、ここには宮の人間以外存在しない。
背中を冷たいものがすべり落ちた。
「また逢うたな、童子」
月夜は訊き覚えのある声にハッと顔を向けた。
「な、なぜここに……」
全身は溢れんばかりの神々しさに包まれ、この世のものではない荘厳で秀麗な姿で現れたのは、間違いなく霊山で出逢ったあの神だ。
「まさか……これは、貴女が?」
神は柳眉を寄せた。
「よもや、お前もわたくしを邪魔立てするつもりか? なればそこの者たちを相手にしてもらわねばならぬが…」
背後に気配を感じ振り返ると、倒れていたはずの人間が鈍く光る刃を降り下ろそうとしていた。
それを辛うじてかわすと、月夜は神に叫んだ。
「神である貴女が、なぜこのような真似をするのですか!」
雪は床でのびているイシャナをわざと踏みつけ、部屋の外へと出ていく。
「ま、まて! 見張りが……誰かに見つかれば、騒ぎに――」
しかし扉の向こうにいた見張りは、いつのまにか気絶し横たわっていた。
他に人の気配もなかったが、館の外ではやはり何かが起きているようだった。
異様な空気が身体にまとわりついてくるのを、月夜は感じていた。
「いったいなにが起こっているんだ?」
一瞬阿修羅の姿を見失い、月夜は慌てて駆け出した。
館から出た途端目にした光景に、息をのむ。
「これは……どういうことだ?」
そこには大勢の者たちが、血を流し累々と倒れていた。
近くの者に駆け寄り容態を確かめたが、辛うじて生きているようだ。
だが、この光景はあまりに凄惨だった。
まるで見方同士が殺し合いでもしたかのように、ここには宮の人間以外存在しない。
背中を冷たいものがすべり落ちた。
「また逢うたな、童子」
月夜は訊き覚えのある声にハッと顔を向けた。
「な、なぜここに……」
全身は溢れんばかりの神々しさに包まれ、この世のものではない荘厳で秀麗な姿で現れたのは、間違いなく霊山で出逢ったあの神だ。
「まさか……これは、貴女が?」
神は柳眉を寄せた。
「よもや、お前もわたくしを邪魔立てするつもりか? なればそこの者たちを相手にしてもらわねばならぬが…」
背後に気配を感じ振り返ると、倒れていたはずの人間が鈍く光る刃を降り下ろそうとしていた。
それを辛うじてかわすと、月夜は神に叫んだ。
「神である貴女が、なぜこのような真似をするのですか!」