雪月繚乱〜少年博士と醜悪な魔物〜
「なぜじゃと……ならばこちらからも問おう。なぜお前たちはわたくしの邪魔をする」
「貴女の邪魔? それはどういう意味ですか!」
神はふと、帝の宮殿に手を差しのべた。
「そこにいるのはわかっておる。おとなしく鍵を差し出し、あの子をわたくしに還すのじゃ」
月夜はギクリと顔を強ばらせた。
鍵を差し出せ、と神は云った。
それはイシャナも云っていた、始まりの神が自らを封じた鍵のことだとするなら、神が探しているものを自分がなくしたせいでこんなことになったと云うのか?
「神よ……貴女がそこまでして探しているのは……わがガルナの朱雀帝を生んだ神のことなのですか?」
神は目を細め、宮殿を差していた手を今度は月夜に向けた。
「あの子が己を守る為にこの国を建てたのはわかっておる。しかしそれはもう必要ない。お前が鍵を持っておらぬなら、この国を滅ぼしてでもあの子をつれて行く」
「お、お待ち下さい! 確かに……私は白童様から鍵を……でもそれが、貴女の云っているものかは――」
云い終わらぬうちに、ふたたび刃が月夜を襲った。
避けるだけで精一杯だった月夜は、地面に倒れ込む。
血まみれの身体で、到底そんな真似ができるようには思えない人間が、素早い動きで刃を振り上げた。
――やられる!
そう覚悟した瞬間、人間だったものの身体から首だけが地に落ちた。
それにただ唖然と目を向ける。
いったいなにが起こっているのか、頭の中は真っ白になっていた。
「俺のモノにチョッカイ出すのはやめてもらおう」
月夜は働かない頭のままゆっくりと声の主を見上げた。
それは四つ足の獣ではなく、月夜が近寄るなと云った刻の、人間の男の姿であった。
「……せつ……」
「貴女の邪魔? それはどういう意味ですか!」
神はふと、帝の宮殿に手を差しのべた。
「そこにいるのはわかっておる。おとなしく鍵を差し出し、あの子をわたくしに還すのじゃ」
月夜はギクリと顔を強ばらせた。
鍵を差し出せ、と神は云った。
それはイシャナも云っていた、始まりの神が自らを封じた鍵のことだとするなら、神が探しているものを自分がなくしたせいでこんなことになったと云うのか?
「神よ……貴女がそこまでして探しているのは……わがガルナの朱雀帝を生んだ神のことなのですか?」
神は目を細め、宮殿を差していた手を今度は月夜に向けた。
「あの子が己を守る為にこの国を建てたのはわかっておる。しかしそれはもう必要ない。お前が鍵を持っておらぬなら、この国を滅ぼしてでもあの子をつれて行く」
「お、お待ち下さい! 確かに……私は白童様から鍵を……でもそれが、貴女の云っているものかは――」
云い終わらぬうちに、ふたたび刃が月夜を襲った。
避けるだけで精一杯だった月夜は、地面に倒れ込む。
血まみれの身体で、到底そんな真似ができるようには思えない人間が、素早い動きで刃を振り上げた。
――やられる!
そう覚悟した瞬間、人間だったものの身体から首だけが地に落ちた。
それにただ唖然と目を向ける。
いったいなにが起こっているのか、頭の中は真っ白になっていた。
「俺のモノにチョッカイ出すのはやめてもらおう」
月夜は働かない頭のままゆっくりと声の主を見上げた。
それは四つ足の獣ではなく、月夜が近寄るなと云った刻の、人間の男の姿であった。
「……せつ……」