雪月繚乱〜少年博士と醜悪な魔物〜
「羅刹天(ラークシャサ)……やはり貴君か。なぜ邪魔立てする?」
「帝釈天(インドラ)、お前の邪魔をする気はない。しかしこいつに何かしたいなら、まずは俺に”お願い”してからにしてもらおうか」
二人のやり取りを、月夜は茫然と眺めていた。
どうやら二人は知り合いのようだが、それにしても会話の内容がぶっ飛びすぎていて、まったく理解ができない。
口をはさむ隙もなく、不条理な会話は続く。
「……なるほど。貴君にそこまで云わしめるとは……童子、お前はミトラによく似ている」
――ミトラ…?
「まだ続けるつもりなら、俺が相手になるが」
雪が帝釈天と月夜の間に割って立ちはだかった。
「わたくしも暇ではないが……貴君の申し出はなかなか魅力じゃ。しかしよいのか? 知っておろうが、人界で力を解放することがなにを意味するか」
「ま、まて…魔物が神に敵うわけが…!」
思わず月夜は叫んでいた
「魔物……?」
「やるのかやらないのか、なんなら俺が決めてやろう!」
声を張り上げると同時に、雪の身体から異様な妖気が立ちのぼった。
みるみるうちに身に付けた衣服の色が変化し、全身が膨れあがる。
あっという間に人間とは思えぬ巨大な生き物となった雪を目の当たりにして、月夜は瞠目した。
――これはまさか……霊山の、巨人!
月夜の中でおぼろ気に記憶する、最初に自分を救った巨人と雪の姿が完全に重なる。
――ボクはずっと、この男に助けられていたのか?
訳もわからず、まなじりに涙がにじんだ。
胸の奥が苦しくて、悲しいような、悔しいような想いが止めどなく溢れてくる。
「なぜだ……なぜボクなんだ……?」
「帝釈天(インドラ)、お前の邪魔をする気はない。しかしこいつに何かしたいなら、まずは俺に”お願い”してからにしてもらおうか」
二人のやり取りを、月夜は茫然と眺めていた。
どうやら二人は知り合いのようだが、それにしても会話の内容がぶっ飛びすぎていて、まったく理解ができない。
口をはさむ隙もなく、不条理な会話は続く。
「……なるほど。貴君にそこまで云わしめるとは……童子、お前はミトラによく似ている」
――ミトラ…?
「まだ続けるつもりなら、俺が相手になるが」
雪が帝釈天と月夜の間に割って立ちはだかった。
「わたくしも暇ではないが……貴君の申し出はなかなか魅力じゃ。しかしよいのか? 知っておろうが、人界で力を解放することがなにを意味するか」
「ま、まて…魔物が神に敵うわけが…!」
思わず月夜は叫んでいた
「魔物……?」
「やるのかやらないのか、なんなら俺が決めてやろう!」
声を張り上げると同時に、雪の身体から異様な妖気が立ちのぼった。
みるみるうちに身に付けた衣服の色が変化し、全身が膨れあがる。
あっという間に人間とは思えぬ巨大な生き物となった雪を目の当たりにして、月夜は瞠目した。
――これはまさか……霊山の、巨人!
月夜の中でおぼろ気に記憶する、最初に自分を救った巨人と雪の姿が完全に重なる。
――ボクはずっと、この男に助けられていたのか?
訳もわからず、まなじりに涙がにじんだ。
胸の奥が苦しくて、悲しいような、悔しいような想いが止めどなく溢れてくる。
「なぜだ……なぜボクなんだ……?」