卓上彼氏



クリスマス当日、私が元気に家を出て行く姿をヨクは見送っていた。





「行って来まーす!」



「いってらっしゃい!」





『そして……さようなら、みかみ』





漫画の中で、ヨクは切なげに手を振った。






『みかみ、すごく嬉しそうだった。朝からずっと昨日からずっと洋服も試行錯誤してたし。悔しいけど、みかみはあの人が好きだって、いよいよ認めなくちゃいけないなぁ』






ヨクは諦めたような、困ったような顔で笑った。







「よーし、じゃぁ、最後の片付けしますか!」





ヨクはそうつぶやくと、漫画の仕上げと私へのメッセージを作りはじめた。






『あの人はきっとみかみのことが好きだし、あとはみかみが俺に気を遣わないで自分の気持ちに気づいてくれたらいいんだけど………』






ヨクはペンを止めて、心配そうに時計を見た。







————こうやって、いつだってヨクは私のこと考えてくれてたんだよね。




『時計を見る』という普段の何気ないヨクの動作が、今の私にはもの凄く涙を誘うものだった。





やり場のない溢れ出すヨクへの愛情には、ただ画面をなぞるしかなかった。



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