愛しい背中
前から受け止められるよりも、

後ろから手を回して抱きつく方が好き。



そんなことを想像しては一歩ずつ彼に近づく。




振り向いて――――あなたの後ろ姿を見るのは淋しいから

振り向かないで――――あなたの背中を見ていたいから




私はもう覚えているの。



あなたの背中に顔を埋めると

仄かに香る、煙草の―――バニラの香り。


< 3 / 4 >

この作品をシェア

pagetop