砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「ごめん、なさい」

 喉の奥から掠れる声を絞り出す。
 龍星はふうわりと微笑む。

「いいよ、気にしないで。
 傍に居ると言ったのに出かけてしまって悪かったね。
 それに、夕べ、きちんと説明できてなかったようだ。

 毬が呼び寄せたのが猫で良かった」

 他の悪霊なんかだったら間に合わなかった。
 
 ……もっとも、素人の力で簡単に悪霊がやってくるとも思えないが。

「ごめんね、龍」

 毬の瞳から涙が落ちる。
 滅多に自分のことでは泣かない気丈な姫の涙に、龍星は心配そうにその頬を撫で、流れる涙を掬う。

「もう、大丈夫。
 心配するには及ばない」

「お願い……うちに帰れって言わないで。
 いい子にするから、ここに居させてっ」

 はらはらと流れ落ちる涙を、龍星は愛おしく見つめてそっと唇を重ねた。

「言わないよ。
 いつまでもここに居るといい。
 だから、泣かないで」

「でもっ。
 猫……。
 庭だってめちゃくちゃになっちゃったしっ」

 くすり、と、龍星は笑う。

「草木はまた生える。そのくらいで、俺が毬を手放すと思う?」

「だって」

「駄目駄目。毬のこと狙ってる輩はたくさんいるんだから。
 頼まれたって手放さないよ、分かった?」

 龍星は強く言うと、ようやく泣き止んだ毬をもう一度抱きしめて、指先で涙を拭うと、甘く唇づけた。
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