砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
 許されることならこの華奢な身体をいつまでも抱きしめていたい、と、龍星は思う。
 悪気なんてまったく無いことは、言い訳も説明も一切不要なほど分かっていた。

 毬はなんとか自分一人でこの窮地を切り抜けようと、躍起になっているだけなのだ。
 すぐ傍に、こんなに腕の立つ人物が居るというのに。

 およそ普通の人間がこんな窮地に陥ったら、さして腕の良くない陰陽師にまでべったりと、頼り切るであろう。
 そんな人間を、今まで多々、龍星は見てきた。



 泣き止んだ毬の伏せた瞼にそっと唇を落とすと

「雅之と、客人が来るんだ。
 毬も同席してくれる?」

 と、懇願の色を乗せて囁いて見せた。

 常人がいかに龍星を頼るか、自分の力はどの程度か、夜伽話に載せて毎晩のように伝えてきたというのに、まったくもって理解されている気がしない。

 こうなったら、目の前で見せるのみだ。


 龍星は頷く毬の頭をそっと撫で、慣れた手つきで乱れた着物を整えた。
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