砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
牢の周りには、じめっとしたいやな空気が漂っていた。
その真ん中で、まるで死んでいるかのように、年老いた右大臣が横たわっている。
干からびたキツネを思わせるような寝姿に、帝はぞっとしない表情で顔を背けた。
龍星は、眉一つ動かすことなく袖の中から五芒星を記した半紙を取り出す。
それを牢の前に貼り、細い指先を紅い唇に当てて短く呪を唱え、その手で印を結んで何かしらの結界をその牢の周りに張った。
次に、自分が立っていたところに一つわら人形を置いた。
そして、数歩下がってその様子を唖然と見つめている帝に声を掛ける。
「お手数ですが、このわら人形を信頼できるものに見張らせてください。
そして、これに何かしらの異変があったらすぐそれを持って、例の屋敷に向かうよう命じていただけませんか?」
「それは、危険を伴うのか?」
「いいえ。
危険なことは何も。
ただ、確実に屋敷に届けていただければ良いだけです」
帝は、一瞬何かを逡巡するかのように唇を噛んだ。
直後。
「私がやろう」
と、軽い口調で答えた。
龍星の視線が険しくなる。
「いけません。これは、帝の手を煩わせるようなことではありません」
「何故?
私は今、一介の検非違使だ。
危険もないんだろう?
任せてみろよ」
帝は口調は軽いが、その瞳は強く真っ直ぐで、一歩も引く気はないようだった。
その真ん中で、まるで死んでいるかのように、年老いた右大臣が横たわっている。
干からびたキツネを思わせるような寝姿に、帝はぞっとしない表情で顔を背けた。
龍星は、眉一つ動かすことなく袖の中から五芒星を記した半紙を取り出す。
それを牢の前に貼り、細い指先を紅い唇に当てて短く呪を唱え、その手で印を結んで何かしらの結界をその牢の周りに張った。
次に、自分が立っていたところに一つわら人形を置いた。
そして、数歩下がってその様子を唖然と見つめている帝に声を掛ける。
「お手数ですが、このわら人形を信頼できるものに見張らせてください。
そして、これに何かしらの異変があったらすぐそれを持って、例の屋敷に向かうよう命じていただけませんか?」
「それは、危険を伴うのか?」
「いいえ。
危険なことは何も。
ただ、確実に屋敷に届けていただければ良いだけです」
帝は、一瞬何かを逡巡するかのように唇を噛んだ。
直後。
「私がやろう」
と、軽い口調で答えた。
龍星の視線が険しくなる。
「いけません。これは、帝の手を煩わせるようなことではありません」
「何故?
私は今、一介の検非違使だ。
危険もないんだろう?
任せてみろよ」
帝は口調は軽いが、その瞳は強く真っ直ぐで、一歩も引く気はないようだった。