砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
 龍星があまりにもさらりと言うので雅之が目を見張る。

「なんだ?

 不満か?」

 漆黒の瞳が雅之を見る。

「いや、不満とか言うわけではないが……

 ただ、意外だなと」

 雅之の見てきた龍星は、妖(あやかし)との戦いには強いが、その周りの人間には全くといって興味がないような男だったから。

――ともいえず、雅之は口をつぐむ。

 その様子を見て、クックと、龍星は喉の奥で笑った。

「本当、分かりやすい男だよ、お前は」

「いや、悪い意味ではなくて」

「ああ、そうだろうよ。

 何も聞くな。

 俺にも説明は出来ぬのだ」

 柔らかい声で、龍星は言う。

 言葉に出来ぬ想いをそれぞれの胸で噛みしめながら、ゆっくりと夕日に染まりゆく京の町を二人は歩く。



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