ミックス・コーヒー
   ③

 夜の9時を過ぎた。
 食卓には、いつもより一人分多い食事が並んでいる。

 もうすぐ、イカちゃんが来る。

 普段も充分潔癖な貴之だが、つい先程まで、時間をたっぷりとかけて、いつも以上に細かく掃除をしていた。

 あの電話の後、貴之は、美葉にしつこくイカちゃんとの関係を問いただそうとしたが、ただ「後で来たら全部わかるから」と濁すだけで、ちゃんと答えてはくれなかった。
 
「イカちゃん、カレーライス食べてくれるかな」
 尚樹も珍しい客の訪問を楽しみにしているようだ。



『ピンポーン』
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