ミックス・コーヒー
 待ち焦がれたチャイムの音に、貴之がダッシュで玄関へと向かう。
 
「はい」と、緊張で少し震えている手で、ゆっくり扉を開ける。



 玄関の照明の灯りが、その女性を照らしていた。

 テレビで見るよりも、なんとなく小柄な印象を受けた。
 綺麗な茶色の髪の毛は結構長く、胸の辺りでゆるくカールを巻いている。
 Tシャツにジーンズという、かなりラフな服装ではあったが、それでも鮮麗なオーラを感じた。

 非の打ち所のない端正な顔立ちが、貴之の後ろの辺りを見て、みるみるうちに緩んでいった。



「美葉!!」
 スニーカーを脱ぎ捨て、彼女は美葉に飛びついた。

「……ミクリ」

 その時貴之達は、彼女達、二人から只ならぬ強い結びつきのような物を感じていた。
< 138 / 366 >

この作品をシェア

pagetop