ミックス・コーヒー
「うん、やっぱりおいしい!」

 ミクリが口に頬張ったまま、声を上げる。

「ただの卵焼きだよ」
「いやいや、全然違いますよ」

 本当に美味しそうに食べてくれるミクリを見て、尚樹もとても嬉しくなる。

 味噌汁をすすり「はあーっ」と息を漏らすミクリのメガネが曇っている。

 思わず尚樹が笑った。
「すげえ、真っ白だ」

「ホント、何も見えない」
 ミクリがメガネを外して、自分の服の裾でレンズを拭き始めた。
 下を向く、ミクリの長いマツ毛が揺れる。

 尚樹は、ぼんやりとそれを見ていた。

 曇りの取れたメガネをかけながら、ミクリが言う。
「尚樹さんって、あたしにも全然普通に接してくれますね」

「……そう? ごめん、おれ、芸能界とかそういうのホント疎いから……」

 首を横に振り、ミクリが続ける。
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