ミックス・コーヒー
 受話器を置いた美葉に、貴之が声をかける。
「イカ……ミクリちゃん、なんて?」

「明後日、バードを連れてくるって」

「ハートだろ」

「すげー、濁点が付くか付かないかで全く違う雰囲気になるな」
 尚樹が、またよくわからないことを言っている。

 貴之は、明日話されるだろう内容を想像した。一瞬、鼓動が大きくなり、胸が締め付けられた気がした。
 美葉達に感づかれないよう、貴之はあえて明るく振る舞った

「まさか、ハート河内がこの店に来るなんてなあ。サイン書いてもらおっかな」
「おっ、いいね」
 貴之の提案に尚樹も賛成する。

「あ、イカちゃんにも書いてもらおうっと!」
「うん。いいんじゃね?」
「あ、じゃあ私も書く」
「おまえのはいらん。この一般人」

 貴之にバッサリと切り捨てられた美葉は、首を傾げ不満がった。
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