ミックス・コーヒー
 しばらく歩き、ミクリのマンションの前に着いた。

 建物に沿って、その上を見上げる。
 ミクリの部屋の電気はまだ付いていない。

 携帯を出し、液晶を覗く。
 10時半を回ろうとしている。
 ついでに言うと、やはりミクリからの連絡はない。



 仕事、長引いてるのかな……。



 尚樹が考えていたその時、マンションの敷地の茂みから、葉が擦れるような音がした。



 ……なんだ……?



 無意識だった。

 尚樹の足は、その音のした茂みの方へと引き寄せられていた。
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