ミックス・コーヒー
   ⑤

 25年前。
 
 とある小さな喫茶店。


「優哉ー! 来たぞー!」
 がっしりとした体格の男が、豪快にドアの鐘を鳴らしながら店内に入ってきた。

「そんなに叫ばなくても、おまえは足音だけでわかるよ」
 優哉、と呼ばれた青年は、そう言って眼鏡の奥で目を細めた。

「よお、シゲ!」
 カウンター席に座っていた少し童顔の男が、シゲという男に声をかける。

「なんだ、誠達も来てたのか」

「シゲちゃん。優哉の作った鉄火丼、すごい美味しいよ」

「美鈴、おまえは喫茶店に何しに来てんだよ」

 誠の隣に座っているショートヘアの美女……美鈴に向かって、シゲは白い歯を出して笑いかける。
< 364 / 366 >

この作品をシェア

pagetop