モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「黎明、朔夜様に伝えて
くれる?やっぱり、
わたしじゃあまり
お姉さまの役に
立てなかったみたい、って。」

ブラッシングを大人しく
受けていた猫は話しかけた
沙羅に応じるように、
一声鳴いた。

この猫は、人語を理解し、
必要があれば人の姿にもなる、
ちょっと変わった猫だ。

朔夜がいないときに
人型になるのは消耗が
激しいらしいので、
ここにいる間は
猫の姿のままだが。

沙羅にのどを撫でられ、
ゴロゴロとのどを
ならしていた黎明の
動きが、突然、止まった。
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