モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「あなたや沙羅たちに
うつったりしないのよね…?」

姫乃の確認の言葉に、
凍夜は少しばかり気分を
害したような表情で、
姿見の正面に立っている
姫乃の隣にならんだ。

そのまま片方の腕で
姫乃の腰を引き寄せ、
反対側の手で姫乃の頬を
包み込むように掴む。

鏡の中の姫乃の頬に、
同じく鏡の中の凍夜が
口付けるのが見えた。

同時に、小さな痛みが
姫乃の頬をさす。

「?」

凍夜が顔を離すと、
姫乃の頬には、
体中にある赤いアザと
同じモノが残されていた。

何が何だか、いまだに
よくわかっていない姫乃が、
頬にそっと手を触れると、
凍夜が耳元で囁く。
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